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はじまりと雑記。

2019-01-01から1年間の記事一覧

日記

自分が考えていること、その世界の外に触れたいと思う。詩でも書けそうな気分だな、と。気分だけを味わっている。 冬休みに入った。冬の太陽はいつも朝焼けのようだ。底冷えのする空気が澄んでいて、日が差す場所だけに温もりがある。 自分の生活のどこにも…

短歌-12

前書き ジオラマのような街をバスから見下ろすとき、その中に僕はいない。 誰かの部屋からこぼれ出したピアノの音。 木枯らしの吹き溜まり。 冬の青空になじみ出す、あなたの声。 短歌 もうここが終点ということにして 駅舎で開く星座図鑑の 屋上の誰かの庭…

短歌-Ⅺ

朝と時雨。まだ消えない夜。立ち止まってみてください。 ただ通り過ぐ景色だけアルバムに綴じる仕事を探しています 最大の音量で聴く音楽といつも冴えない顔の柴犬 朝靄が消えないようにいつまでも いつまでもって永遠ではなく オレンジを撫でるあなたがそこ…

短歌⑩

今年の夏は、同級生からの連絡が相次いだ。久しぶりに会わないか、と。そのほとんどを断った。ずっと誰かの思い出に居座るくらいなら、いっそ私のことなど忘れておくれ。 短歌 思い出を弔うときに鳴っている マリンバ、君は秋のダンスを 秋雨は次第に屋根を…

短歌⑨

夏。 歌 この夏もあなたが主演のプロットの中で私は林檎飴を売る 向日葵が視界を覆う 夕立に藍の着物がほのめかす 死を 耐え難い。打ち上げ花火のフィナーレで 気づかれぬまま沈む灯籠 2019/8/20

短歌⑧

ただ夏を感じて、夏を考えることがないままに私の夏が終わろうとしている。人生、あと幾度となく迎える夏の中に、どれほど忘れられない夏が訪れるだろうか。忘れられない夏はどれほどあっただろうか。夏はいつも活き活きとした死の匂いで充満している。もう…

短歌⑦-「ぬるい梅雨の」

浴槽が梅雨で満ちて体温の 心にも似た柔なぬくもり くだものを心に乗せて笑い合う 涙も飛沫になると知らずに 縫いあとのほつれた袖から行き渡る 世界は少し優しいポブラ 翡翠から言葉があふれる僕たちは わすれたくないことも忘れて 忘れたくないことも忘れ…

短歌⑥-「無音なる星」

大人になれば忘れることは、大人になってから忘れればいいかな。そうして失ったことにも気付かずに、まだ旅は途中だ。 街灯の光は淡くいつの日か指でなぞった星 降り注ぐ 星座の線 途切れるときにもう二度と会えない人に歌を歌おう 葉の先にあまつぶ実る放課…

短歌⑤-「虚像と眼」

継ぎ接ぎだらけの人生に、継ぎ目のない毎日がある。見ないふりをして、見つめる。受け入れながら、拒絶している。この現実こそが幻想であり、幻想にこそ現実がある。そんなことはない。確かに今、私の手には桃が握られている。 踊り場の(触れられないな)柔ら…

短歌④-「春の翳りに」

少し頭を空っぽにしてみました。それでも色々考えている。平成最後の投稿になるでしょうか。では、また、新しい元号と変わらない日々で会いましょう。 晴れを待つ東屋の隅 睡蓮が世界の終わりを体現している 新天地ではまず安いカラオケの店を探すことから始…

短歌③-「桜と一日」

桜を詠むことを試みました。 何もない日々の延長線上の 君が笑顔でありますように 側溝の桜銀河は果てしなく 広くおもえて手のひらほどで 連れてきた車輪の桜の道しるべ 「次右だっけ?」「 ううん、もう少し、」

生活叙事詩

ちょっと自分の話でもする。 四月から僕の生活の色はがらりと変わった。約一年間の自堕落に埋もれた自宅浪人は終わった。たくさんを手に入れては無駄にして、結果に残る成績は何一つ得られなかった。 専門学校に通うことになった。初めは学校事務を志して公…

短歌②-「黯い夜」

所詮。性懲りも無く、二度目の短歌投稿。 ここではない。という確信だけ持って歩む日々が始まりそうで。見失いたくないな。 短歌② さそわれるようにのぞいた路地裏のアネモネ 微かに襲う五月雨 灰色に染まった声を拐かす、ジン、GARAM、君。 まだ足りなくて…

短歌①-「貴女」

「あの花火、撃ち落としてよ」と微笑んだ貴女は沈む 都会のビルへと 肌色が上げた嬌声 残響に揺らぐバロック 死を仄めかして、 桜に見初められ君は春の奴隷 叫びで濡れた咽喉は枯れゆく 「海になりたい」と嘆いた少女さえ きっといつかは空へ昇って 或る電波…

寒いね

久しぶりに犬に吠えられた。これがなんだかたまらなく嬉しいもので、吠え返してやろうか、と意気込んで軽い会釈をした。おおよそ意思疎通とは程遠い。この忘却の波に拐かされそうな出来事を印象づけたのは、自身未踏の地を散歩している好奇心で溢れていたか…

成人式

私は、式における様々なやり残しによる虚脱感と、旧友との再会で仮面をつけたことによる自己疎外感に襲われながら成人式の会場を後にした。満足に成人式を終えられずに不完全燃焼に陥った心は、「誰かと時間を共有したい」というただ一心のみで燻っていた。…

降る朝

微かに溶け合う夜と朝。コップに注いだ一杯の水を飲み干して冴えわたった意識のもとで、結露と放射冷却で冷えた窓を開け放した。澄み切った空気を肺いっぱい吸い込み空を見る。欠けた月と淡い星。それよりもっと近くで街灯がともっていた。電線の陰で鳥は鳴…