短歌-1104
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旅をしませんかこの世の自販機の全てに触れて僕と君とで
起源から話をされてオレンジは時間のベルトをゆっくり下る
流しには野菜の屑も切り捨てていつか誰かの端役になろう
地下鉄のホームへ下る人波に人君人人きっと幻
シリウスの齢を花に例えだす
僕らふたつの間を辿る
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歯を磨く。散歩に出る前に魔法瓶に淹れる珈琲のための湯を沸かす。母は歯を磨いたのに、と僕を笑う。母は僕が知らない藤の花の咲く公園を知っている。
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自分が何になりたいのかわからなかった。お金も名声も愛もない世界に君と生きてみたかった。肩書なんて体にこびりついて取れないただの錆だ。優しくなりたいなんて言うのもただの暴力だと思う。
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2020/11/04