ライトダウン

はじまりと雑記。

外の雪

  一夜明ければ外は冬の表情を見せていた。それを肌で感じるべく、すぐに外へ駆け出した。粉雪の舞う風がひどく冷たく、心地よい朝だった。誰かが踏んだ雪の上を辿る。少しずつ、でもしっかりと歩みを進める。

   青い空を透き通す雲の下、冬枯れから手を離した落ち葉が、透明に固まった雪の中で化石の様に眠っていた。町では子どもたちがはしゃぎ立て、触れた雪で濡れそぼった手を赤く染めている。厚い外套を纏った男の老人はほうきを片手に空を見上げていた。時折、吹く風の冷たさに身を震わせて手を擦り合わせる彼の様子に、冬が誰しもに訪れたことへの幸福を想う。

 歳を重ねるにつれて積雪に憂う人が増えていく様に感じる。路面の凍結や公共交通機関の混雑を考えると、その憂鬱を想像することは容易だ。思い返して私はどうだろうか。まだ冬に沸き立つ心を抑えられずにいる。積もる雪を前に私は少年だ。